公開: 2024年4月5日
更新: 2024年8月8日
封建社会では、社会における身分階層が明確に分かれていて、貴族の家に生まれた人は貴族に、騎士の家に生まれた人は騎士に、農家に生まれた人は農民に、農奴の家に生まれた人は農奴になることが決められていました。唯一の例外が、宗教家でした。
このような身分制度が固定的な社会には、流動性がなく、活気は生まれません。その結果、そのような社会では、技術革新は起こらず、生産性も上がらないため、人口も増加しません。
ヨーロッパの中世社会では、千数百年の間、経済発展も人口増加も、ほとんどありませんでした。そのような社会は、確かに安定した社会と言うことができますが、それは、人々が生き生きと生活できる社会ではありません。
16世紀の宗教改革、18世紀の産業革命を経て、中世の社会のような固定的な階層は崩れ、社会は徐々に活気があふれるようになりました。とはいえ、古い時代の慣習は残りました。そのような古い慣習も、産業革命から200年が経過して、人々が社会の階層を意識することは少なくなりました。
それでも、社会の中には、社会的な階層の影響が残っています。例えば、多くの国で、教育のための経済的負担の問題から、上流の階層に属する豊かな人々は、その子供たちに高い教育を受けさせやすい傾向にあります。良い教育を受けた人々は、社会の中でより高い社会的地位につき易い傾向があります。そして、さらに、その子供たちに、より高い水準の教育を受けさせるのです。
この社会階層と教育の関係の連鎖が、弱いながらも、かつて固定化していた階層の名残を残しています。その意味で、次世代の人々を育てる教育には、人々の出身家庭の階層による、社会的・経済的な格差の影響を持ち込まないようにしなければなりません。